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“ パンダ(ジャイアントパンダ)はほとんど笹と竹しか食べませんが、もともとはクマ科に属する肉食動物であり、草食動物に特有の長い腸を持っていません。また、2009年に行われたゲノム解読によると、セルロースを分解するのに必要な酵素の遺伝子もありませんでした。このため、腸内細菌によって笹と竹のセルロースを分解すると推測されていますが、詳しく解明された訳ではないようです。
 もしパンダの腸にセルロースを高効率で分解できる細菌が棲息しているならば、これをバイオ燃料の製造に利用できる可能性があります。化石燃料に代わるエネルギー資源としてバイオ燃料に対する期待が高まっていますが、現在の技術では、人間の食用にもなるトウモロコシやサトウキビのデンプン・糖質からバイオ燃料を作ることしかできず、食料の不足や価格高騰をもたらしかねません。しかも、バイオ燃料の原料となる植物の多くは、地面を覆う面積が小さく大量の水を吸収するため、土壌の劣化を助長するという悪弊があります。実際、アメリカで乗用車燃料の10%をバイオ燃料とする規制が導入され、トウモロコシに作付け転換する農家が相次いだ結果、トウモロコシ畑から流出した土壌がメキシコ湾を汚染したという報告もあります。こうした問題を解決するには、食用にならず農業廃棄物として捨てられる部分(あるいは木材のチップや雑草・藻)からバイオ燃料を製造するのがベストですが、そのために必要なセルロース分解法が実用化できないため、開発は暗礁に乗り上げています。パンダの腸内細菌は、多くの科学者が注目しているシロアリの腸内細菌とともに、バイオ燃料製造に必要なセルロース分解酵素を提供してくれる候補となるでしょう。
 パンダはホッキョクグマと並ぶ絶滅危惧種の代表として注目されていますが、あくまで環境問題のシンボル的存在であり、パンダを保護したからといって直ちに人類にメリットがある訳ではありません。これに対して、パンダとシロアリの腸内細菌は、産業に応用できる重要な遺伝子資源とも言えます。愛らしいパンダと害虫であるシロアリを並べて語るのは奇妙に聞こえるかもしれませんが、遺伝子資源という観点からすると、どちらも確保しておかなければならないものなのです。”
質問集 (via raurublock)

(via yaruo)

23:43 on Dec 5, 2011